最も簡単に浴衣と着物の違いを見分ける方法
KIMONO DOORブログへのご訪問ありがとうございます。
こちらの記事では、浴衣と着物の違いの簡単な見分け方をお伝えします。
お家にある着物で、浴衣なのか着物なのか分からない物があったりしませんか?
その判断方法も解説しています。
また、浴衣を着物っぽく着てみたい!という方が知っておくと良い知識などもまとめました。
人が着ている状態で見分ける方法
まずは、人が着ている状態で「浴衣」と「着物」見分ける方法です。
首元に注目します。
「浴衣」の首元は浴衣の素肌の上に浴衣の衿だけが見えています。
一方、「着物」は衿が二重になっています。
これは、着物は下に襦袢という下着を着ていて、その襦袢の半衿という部分が少し見えるように着付けるためです。
襦袢の衿は白地のもの、刺繍が入っているもの、色柄のもの、様々あります。
以上の通り、人が着ている状態であれば単純に、下に半衿が重なっていなければ「浴衣」、下に半衿が重なっていれば「着物」と捉えられます。
浴衣と着物の違いは、まずは「着方の違い」であると言えます。
人が着ていない状態ものを見分ける方法
次に、人が着ていない状態(お手持ちの物や売り物など)で「浴衣」と「着物」を見分ける方法です。
着ている状態と違い、この場合は見分けるために
①素材の違い
②裏地の有無
③衿の形の違い
④色や柄について
についてご説明したいと思います。
(売り物については、商品名が「浴衣」であればもちろん「浴衣」ではあります。)
素材の違い
浴衣の生地は、綿、麻、ポリエステル、左記複数の素材の混合などが多いです。
これらはすべて水で洗える素材です。
夏場に着る浴衣は、汗などで汚れることが前提なので水洗いできる素材が使われています。
ただ、着物には洋服のように「品質表示タグ」がついていなことが多いので、その場合に素材を判断するには手触りを確かめる方法しかないんです。
(着物や浴衣を仕立てる前の”反物”の状態の時には「証紙」という)
綿や麻は洋服でも使われる素材なので、触ってみると何となくわかるのではないでしょうか?
浴衣の素材にあまり使われないのは「絹」です。着物には使われます。
絹の着物は繊維の特性上、水洗いすると縮み型崩れしてしまうため、絹だけで織られている生地は浴衣には向いていません。
「絹紅梅」と呼ばれる木綿と絹が織り込まれた浴衣生地はあります。
ワッフル地で、触り心地はシャリっとして肌触りが良いです。
絹だけで織られた生地よりは洗う際の型崩れはしづらいのですが、浴衣として着る場合は汚れた時の洗濯方法を事前に確認しておくのが安心です。
(後述しますが絹紅梅の浴衣は、下に襦袢を入れて夏着物として着るのがオススメです。)
絹紅梅。格子の部分だけが木綿糸で、それ以外が絹糸で織られています。
同じくワッフル地で見た目が似ている「綿紅梅」という生地は、綿だけで織られています。
「紅梅」というのがワッフル状の織り方で、綿の他にもポリエステル生地もあります。
表面に凹凸があるので汗をかいても肌に張り付きにくく、浴衣としてとても着心地が良いです。
浴衣の生地には、他にも「絽」や「楊柳」など様々あります。
どちらも通気性や肌触りが良い暑い時期向きの生地です。
裏地の有無
浴衣は裏地がついていません。
袖や裾の内側を見てみます。
表地とは違う布が縫い合わせてあるものは「袷着物」といい、秋~春頃に着る着物です。
裏地がついていなければ、「浴衣」か「単衣着物」のどちらかに分類できます。
因みに、袖や裾には裏地がついていないけど、羽織ってみてお尻~脚のあたりだけに裏地がついている「浴衣」や「単衣着物」があります。これは「居敷当て」といい、下着の透け防止のためのものです。
衿の形の違い
衿の部分の幅が10㎝前後あるものは「広衿」という仕立て方で、着付ける時は内側に半分の幅に折ります。基本的には「着物」の衿の形です。
浴衣の衿は、半分に折らずにそのまま着付けられる「バチ衿」という仕立て方になっています。
ただし、バチ衿で仕立てられた袷着物や単衣着物もあるので、衿の仕立て方だけで浴衣と着物を区別することはできません。
色や柄について
絶対に浴衣にしか使われない色というものはありませんが、昔ながらの浴衣は、白地や紺地のものが多いです。
白地の浴衣は涼しげに見えますし、紺地の浴衣は昔ながらで大人っぽくキリッとした雰囲気になります。
最近は華やかで可愛らしいな多色使いの柄の浴衣も人気です。夏らしくてとても可愛いです。
柄についても同じく、絶対に浴衣にしか使われない柄というものはありません。
ですが、うちわや金魚、花火などの日本の夏らしいモチーフ柄は浴衣に多く存在します。
浴衣を着物として着ることはできるの?
「浴衣」は下に襦袢を着ることで「着物」として着ることも出来ます。
半衿を入れて足袋を履くことで浴衣より余所行き感が出るのでショッピングや街歩きにピッタリです。
色柄については夏らしいモチーフの描かれた大柄の浴衣より、控えめな細かい柄の物の方が、着物として着る場合には合うかもしれません。
前述した「絹紅梅」などは着物として着る前提で、落ち着いた色柄のものが多いようです。
どんな素材の浴衣でも着物として着ても問題ありませんが、下に一枚襦袢を着る分は暑くなってしまうので真夏日の日中などは熱中症にならないように注意が必要です。
特に綿コーマと呼ばれる綿だけの凹凸のない平織りの生地は、汗は吸いますが風通しが良いとはいえないので熱が篭もります。
麻が含まれている生地や紅梅は綿コーマに比べると風通しは良いですが、やはり浴衣として着るよりは暑くなります。
暑さを避けてレストランや美術館などの涼しい室内で過ごしたり、気温の落ち着いた夕方以降に出掛けるなどがおすすめです。
夏場は少しでも涼しく着るために、襦袢の衿だけが独立している「うそつき衿」というものを付ける場合もあります。
次に、浴衣と着物の履物の違いについて解説します。
履物の違い
和装の履物は大きく「草履」「下駄」「雪駄」に分けられます。
「着物」の場合は好みやコーディネートで履き分けられます。(雪駄は男性が多いです。)
どれを履く場合でも先に足袋を履きます。
一方、「浴衣」の場合では素足に下駄を合わせるのが基本です。
下駄の表面は木で出来ています。
現代では浴衣自体がカジュアルな外出着の位置付けなので、下駄を履いて足が痛くなってしまう場合には履きなれたサンダルを合わせたり、足が冷える時には足袋を下に履くなど、自分の過ごしやすさを優先して柔軟に判断して問題ありません。
草履は表面の素材ビニール製や皮製のものが多いです。素足に汗をかくと滑りやすくなって履き心地が良いとは言えないので、浴衣に草履は合わせません。
帯の違い
「浴衣」を「着物」として着る場合でも、浴衣と同じ「半幅帯」を結んでも大丈夫です。
帯結びをお太鼓風などにしてみるとより着物らしい雰囲気になります。
(写真)
飾りに「帯揚げ」や「帯締め」をプラスするなど楽しみ方は自由です。
半幅帯ではなく、「名古屋帯」で本当のお太鼓結びにしてももちろんOKです。
浴衣と着物それぞれの着用時期について
浴衣の着用時期は、地域や気温によって多少のズレはありますが一般的に7月頃~8月です。
その前後の時期(5月後半頃~6月頃と9月頃~10月頃)は、「単衣の着物」のシーズンです。
単衣の着物とは、裏地がついていない着物のことです。
実は、浴衣も裏地がついていないので「単衣の着物」と捉えることができます。
という事は、単衣の着物のシーズンなら、浴衣を着物として楽しむこともできるということです!
7.8月に着る予定の浴衣を、6月は下に襦袢を着て着物として着れば、長い期間楽しむ事が出来るんです。
浴衣と着物では、衿の抜き具合や裾の高さなどでやや違いがありますので、着物として着る場合には着物の着付け方を参考にしてくださいね。
最後までお読み頂きありがとうございます!
浴衣と着物の見分け方、お分かり頂けたでしょうか?
着方が違うだけで「浴衣」も「着物」の一種です。
浴衣が好き!という方は、是非着物としても着て楽しんでみてください。
もし疑問なことなどありましたら、コメント欄からお気軽にお聞きくださいね。