単衣(ひとえ)とは?爽やかな季節を快適に過ごす「単衣上手」になろう

こんにちは。川崎区の着付け教室KIMONO DOORの齋藤みずほです。

初夏(5月~6月頃)と初秋(9月~10月頃)
に着る、裏地の着いていない着物の事を「単衣の着物」といいます。

裏地の着いている着物は「袷の着物」と呼ばれます。裏地がある分暖かく着られます。
10月頃~5月頃に着ます。

温暖化に合わせて単衣の時期が変化してきました

あれ?5月と10月は単衣着物と袷着物の両方が被っているけど?と気づいた方も多いと思います。

実はひと昔前までは6月と9月だけが単衣の時期とされていたんです。
真夏が始まる前の1ヶ月と、残暑の1ヶ月だけですね。

ここ数年、夏になると日本の温暖化が進んでいるというニュースを耳にするようになりました。

特に都市部では7、8月の真夏日・猛暑日も増えていますが、暑くなり始めるのも早くなっています。
5月のゴールデンウイークごろに夏日(25℃以上)になることも珍しくなくなってきました。

25℃にもなると、洋服なら半袖が着られる気温です。

気象庁の観測開始以降の月平均気温データの推移を見ると、ここ数年の5月の平均気温が100年前の6月の平均気温と同じくらいになっています。
http://www.data.jma.go.jp/obd/stats/etrn/view/monthly_s3.php?%20prec_no=44&block_no=47662

そんな訳で、着物ユーザー界隈では5月頃から単衣着物を着るのが一般的になりつつあります。
残暑も長引くので秋も10月頃までは単衣を着ている方が多い印象です。

その日の気温を目安にして着物を選んで〇

実際、着付け講師として単衣着物と袷着物をどのように着分けているかというと…。

気温と出掛ける場所で選んでいます。

私は「もし洋服だったら長袖カットソーで出掛けるか、それとも半袖にカーディガンかストールを持っていこうか」と悩むような気候の日には、単衣着物を選びます。
最高気温の予報が23℃前後くらいの日かな?と思います。
逆に、その気温でもほとんどを室内で過ごす予定であれば袷着物を選ぶ場合もあります。

カジュアル(普段着)着物なら、ゴールデンウィーク前後でも洋服だったら半袖を着るかも、という陽気の日は単衣着物を選んで良いですし、5月も下旬に入れば前倒しで単衣着物を着ても問題ありません。
無理に袷着物を着て熱中症になっても大変なので、季節の境目の着物は柔軟に選ぶようにしています。

結婚式の参列など礼装の場合は、主催者や同行者に事前に相談・確認されるのが良いと思います。

あると便利!単衣の時期「にも」着られる一枚

実は私は絹の単衣着物は一枚しか持っていません。
手持ちの着物はリサイクルのものが大半なのですが、単衣着物は、元々は1年の中で2ヶ月程度しか着られなかった着物なので、リサイクルで出回っている量が袷着物より少なめです。
その為、中々これ!という単衣に出会えなかったから、というのもあります。

でももう一つ理由が。
一年を通して着物を着るようになってからの実感として、汗ばむ季節の着物は洗いたい時に洗えないのは辛い…と感じるからです。

私は、暑さよりも寒さに弱い質なんですが、それでも単衣着物を着る時期には汗をかくことも多いです。

私は単衣着物のシーズンは洗える木綿着物とポリエステル着物を活用しています。

木綿着物は、仕立てる際に基本的には裏地は付けません。絹よりも生地自体が厚みがあり重いので、それに裏地をつけると重すぎて着づらくなってしまいます。
そして「袷着物シーズン」にも「単衣着物シーズン」にも着ることができるんです。

 

ブルーチェック伊勢木綿
爽やかなブルー×イエローの大格子柄。伊勢木綿です。

こちらの木綿着物は冬も着ますが、青と黄色の配色で爽やかなイメージなので、4月末~5月にもよく着ます。

年買い足したのは、米沢のKIPPEというブランドの綿麻着物です。

KIPPE
KIPPE 綿と麻が50%ずつで風通りも良いです。

この着物は麻が50%入っているのでなので冬場は着ませんが、5月6月、9月10月に着ます。
麻は湿気がたまりにくいので快適です。
また色味がアースカラー系なので、10月でも秋単衣として気兼ねなく袖を通しやすいです。

とはいえ、涼やかな正絹単衣を着ている方を見かけると「素敵だな~」と目で追ってしまいます。
単衣だからこそ感じられる絹着物の肌触りと着心地の良さももちろんありますし、憧れでもあります。

私の中での「汗をかいても洗えない」というマイナス点を補っても余りあるくらいに、「着たい!!!」と思う単衣が現れたら買ってしまうと思います。
今はゆるっと出会い待ち中です。

私にとって単衣シーズンの着物は少数精鋭で汎用性が高さも重要

最後に、反物のことについても少し書きたいと思います。

袷着物と、5月6月9月10月頃に着る単衣着物については、それぞれに「専用」の反物(=生地)があるわけではありません。
裏地を付けて仕立てると「袷着物」になり、裏地なしで仕立てると「単衣着物」になります。
単衣着物のシーズンが長くなっているので最近は「単衣専用」の反物も存在するそうですが、多くはありません。
でも「単衣向き」の反物というのはあって、「お召」「お召縮緬」という反物がその代表です。
表面にシボ(細かな凸凹)があり、肌に張り付かないので快適なのだそうです。

実は、上品でセミフォーマルまで対応出来そうな飛び柄小紋や軽めの付け下げの反物から単衣着物を仕立てたいという水面下(?)の計画(願望)もあったりします。

私は、単衣着物には汎用性の高さを求めてしまう傾向にあるようです。
長いシーズンで着られること、初夏でも残暑でも違和感なく着られること、お手入れがしやすいこと、カジュアルからセミフォーマルまでカバーできること。
袷着物なら色柄で好きと思うものを選んで買うことが多いのですが、単衣着物の場合は上記のような観点で選んでいます。

着物を着始めのころは、着てみたい着物を探すのも集めるのも楽しいですが、いっぺんに沢山揃えるのはなかなか難しいと思います。

もし単衣の最初一枚に迷われているなら、汎用性の高さも検討材料に入れてみてはいかがでしょうか?

その時その場の出会いもありますし、「この色柄は初夏に着たい!」「初秋にあの帯を合わせたらピッタリ!」などと心惹かれた物を優先して手に入れるのも、それはそれで楽しいものですよ。

単衣の前後は夏着物や浴衣の時期

盛夏(7.8月)に着る着物は「薄物」や「夏物」という呼び方をします。
透け感があり、単衣よりさらに着心地も見た目も涼やかです。
暑い時期なのでそれなりに大変さはありますが、それでも着て出掛けたい!と思わせる魅力が夏物にはあります。

猛暑・酷暑の日中は無理せずに、暑さが落ち着く夕刻から浴衣を着てお祭りに出掛けたり食事に行ったりするのがおすすめです。

 

最後までお読みいただきありがとうございました!
単衣を上手に活用して一年を通して着物を楽しんでくださいね。

\【なりたいスタイルが分かる!着物診断チャート】プレゼント/
LINEお友達登録はコチラ
\着物診断チャートプレゼント/
LINEお友達登録